九十九屋さんたの妖怪古今録
あるところに三太夫という男がおりました。
ある日の事、漁に出た帰り、とてもよい香りがして、いったいどこからなのかと探してみたところ、玉虫色の見たことのない着物が松に下がっていました。
三太夫がそれを持って立ち去ろうとすると、美しい女に止められます。
「羽衣をしりませんか? 私は天女で、ないと帰ることができないのです」
「いえ、知りません。しかし、お困りの様子。うちにいらっしゃいませんか?」
女は三太夫につれられ、家にいき、その後妻となり、やがて子をなします。
子守が雇われて世話をするようになりますが、泣き止まないので、子守歌を歌ってあやします。女はそれを聞いていると羽衣の行方が歌われています。女は羽衣を取り返すと天に帰ってしまいます。そして子供は泣きやまず、捨てられてしまいました。
子供は泣き続け、近所の寺で拾われ、後に賢いことがしられるようになり、都からやってきた菅原是善に養子として迎えられました。
いわゆる天人女房のパターンです。このパターンは多く見られますが実は千葉にも関係が深いのです。