九十九屋さんたの妖怪古今録
前回、天女を女房とする話をしました。こうした話はだいたい別離が待っています。
例えば少し前に話しました滋賀県に伝わる菅原道真が天女の子である話も、母親は天に戻ってしまいます。
しかし、この千葉に伝わる話は天に戻らずに暮らし続けるのです。その珍しさから、噂は都まで届き、武将は都に呼ばれることになりました。そして帝の前で天女の妻について語るのです。帝は話を聞き、出会った池に多くの蓮が生えていた事から、千(多くの。おびただしい数)の葉(蓮の)から、武将に『千葉』の氏を賜りました。国に戻った武将は、千葉氏を名乗り、女房とともに幸せに暮らしました。
ちなみにこの武将ですが、伝説によっては平将門な事もあり、いくつか異伝が残っています。
実際、千葉には確かに千葉氏という武家がおり、いろいろな災難を抱えながらも、江戸時代まで存続しています。(九州でですが)
では実際の千葉県の語源は自分も千葉氏がいたからかというと、違うのがわかっています。
茅(ちがや)が生い茂る土地で茅生(ちぶ)と言われて変化した。茅というのは茅葺屋根に使われる背の高い草です。
「潰れる」ことを意味する「つばゆ」が変化した。
そう、正式な語源はよくわかっていないのです。